じゃら太郎の絵日記11

 

夢風(ゆめかぜ)

作 和代人平

 

朝の夢から吹いてくる

リラの香りの銀の風

野辺にゆれる金色の

桔梗の花

くちずける

黄色い道

赤い屋根

すみみわたる

青に浮かぶ白

瑠璃の房が

色付く前に

あの木漏れ日に

ねえ 帰ろうよ

 

光の波の五線譜に

どんなメロディをのせようか

生まれたての麦の穂も

トンボの群れ

まちわびる

あぁ風が

吹いてきたね

月見橋で

休もうよ

トリの笛は

よくすきとおり

やさしい詩で

君をむかえる

 

空の木の実で飾られた

エメラルドの宝箱

小さな頃の影ぼうし

今も虹と

たわむれる

十五色のクレヨンで

夢の国

描いたよね

沢の水に

足をゆらして

あの時の目で

また笑おうよ

 

僕は詩を書くのが好きだ。

まぁ趣味だ。

僕は多分多趣味だが詩もその一つだ。

絵と詩はどこか共通する部分があるのだろう。

詩を書く画家は多い様な気がする。

絵には物語があるのでそのせいなのかもしれない。

だが趣味の詩であってもそれを気に入ってもらう事もある。

以前頼まれて曲に詩を書いた事がある。

夢風(ゆめかぜ)というその曲はメロディーが美しかったのでJAのCMソングになりドラマの主題歌にもなった。

後にも先にも僕の詩が世の中に出たのはこれだけだ。

しかし残念な事に廃盤になってしまった。

絵本も何冊か作ったがこれも出版社が倒産したせいでもう本屋に並ぶことはない。

唐突だが作品が可哀相なのでここで改めて出す事にした。